「奈由~?ごはんだよ~」

下から、あたしを呼ぶお姉ちゃんの声が聞こえる。


両親とも共働きで、夜遅くに帰ってくる。

だから夜ご飯は、お姉ちゃんが作ってくれる。

お姉ちゃんの作るご飯は、
世界一だと思う。

すっごく、おいしい。

いつもなら

上機嫌で、
「ごはん~っ♪」
と階段を駆け下りるあたし。

でも
今はそんな大好きな
お姉ちゃんのご飯が食べれる合図でさえも
聞きたくないと思ってしまう。



――お姉ちゃんの声だから。