そいつは、あたしたちのほうへずんずんと近づいたきた。 そして、あたしの手首をギュッとつかむと、言った。 「こいつは、俺んだ。 手ェ出すな」 低く、恐い感じに言う・・・・・・秋人。 あたしは、急に手首を掴まれたことと、不思議なことを言われたから、耳まで真っ赤になっている。 口をパクパクさせて、まるで金魚のように、固まって動けない。 そんなあたしをよそに、 「手ェ出すなよ」 ともう一度、言って、手をつかんだまま、歩き出す。 あたしはただ、秋人についていくだけだった。