ノインがそばまで来た時に、空気からの、衝撃を感じた。
近づくと、非難する、研究者や、そこで働く人たちがうごめいていた。
「もう、終わってしまったんだ」
人の姿を避けて車を止める。
近づいてゆくと、建物の正面からは、何のダメージも見えないことが分かった。
誰にも止められることなく、ノインはその中に入ることができた。
ノインは脱力した。
自分のデータはもう、消えてなくなったのだ。
そう思うとほっとするものを感じるのだけれど、それを、自分の手で出来なかったことが、ものすごく悔やまれてきた。
そして、もう、今更、何の手助けもできないのだ。
何とも言えない喪失感。

