ズルいな、ベリル。 この顔で、この、態度で、今まで一体何人の女の人、泣かして来たんだか。 「じゃ、それでいい。なって?」 ベリルは、今度は困ったように笑う。 「私のことを勝手に慕ってくれている分には構わないが」 断ろうとして、発した言葉に聞こえた。 けれど、ベリルは、ちょっと考えて、口調を変えた。 「冷たすぎるとか、泣き言は言わないでくれるか?」 「言わない。厳しい父だと思うから」 「なら、構わない」 「やった」 ノインは椅子から飛び上がって喜んだ。