さっき倉庫で叩きのめした奴が這い出し
て こないかと気をもみながら、待った。
彼は割とすぐに戻ってきてくれた。
「乗って?オレはリヒターだ」
ノインが躊躇していると、
「後部座席に隠してあげるから心配ない
よ。でも、変な動きしたくないから、運
転席から速やかに乗って移動してくれ」
ノインはホッとして、開けられた運転席
のドアから走りこんだ。
後部座席は空いているが、自分を隠して
くれるものがない。
ドアがしまる。
「荷物の中の方がいいんじゃないかな」
座席の後ろのトランクを覗き込む。乱雑
に乗せられているせいで、満杯のように
見えるが、中は結構潜めそうに見えた。
ノインは箱と箱でできた空間に体をねじ
込ませた。
「いいかな?」
「うん」

