「あたし、本当に何も知らないんだ。な
のに、このままじゃ殺されちゃう」

「そうか。それもかわいそうだな」

「これ以上拷問されたら、身体がボロボ
ロになっちゃう」

「…わかった。いいぜ。離してやる」

とか言って、後でしっかり拷問するくせ
に。
じゃなきゃ、自分の立場が危ういだろう
から。
ノインはにこっと微笑んだ。

「これ、痛いんだ。解いて?」

男はノインの前にしゃがみこんだ。
ノインを伺いながら、手首を縛ってある
ロープを、触って解こうとするフリをす
る。
まだ迷ってるのか、ノインが暴れ出さな
いか、様子を見ているのか。
ノインはじりじりきた。

「あッ…」

ノインは小さく悲鳴を上げた。
今度のはとびきり艶っぽく。
男は猛然とロープを解きだした。
ノインの体は開放されてゆくにしたがっ
て小刻みに震えだした。

「どうした?怖かったか?」

はらり。
ロープが地面に落ちた。
男が、ノインに急接近し、抱きつこうと
した。
と、
ノインはニッコリ、極上の微笑を浮かべ
た。