「ただいまー!」
玄関のドアを勢い良く開けると、そこはあたしの癒しの空間。
外で、どんなに辛い事があったって【ここ】があるから頑張れる。生きていける。
大切な場所。
「お帰り、杏ちゃん……、今日は遅かったのね」
大好きなママの笑顔は、いつも、ほわほわ優しい。
「うん、部活がちょっと長引いたんだ、言ってたでしょ?
今日、村井先輩ってOBが来るって……、
いやー音楽的センスはかなり良いね、
でも、人としてはどうかな、
うん、でも、まぁ頑張って来たよ」
「あらら、何それ…、おっかしいの、先輩、若いのに優秀な方なんでしょ?」
「あぁ…、うん、なんか、やらしい感じだけどね」
「え!やらしい?どういう事だい?
あ、杏奈…、どういう事?
何か問題あるような事されたのか、
ねぇ、杏奈……」
さっきまで隣の部屋にいたのに、飛んできて、あたしにまとわりつく太郎ちゃん。
うんと短くしてるけど、柔らかい明るい色の栗毛があたしと同じ。
話を聞かない振りをして、背中を向ける。
聞こえてたのかと、自分の配慮のなさを悔やむあたしだけど、もう遅い。
太郎ちゃんは心配性で、いや、かなりの『心配病』で色々と口うるさい。
「ねぇ?杏奈、帰り道は大丈夫だったか?
暗くなり始めると危ないなよなぁ…、
帰りはやっぱり迎えに……」
もう!
太郎ちゃんの親バカ、心配マン。
半ばうんざりして振り返る。
「太郎ちゃん……、もう、
そうやって言うなら携帯買ってよ―、
ケイタイデンワ!
防犯に役立つ代物だと思うよ……、
ね、ママ?」
「ええ、ママもそう思います」
「…いや、え~と、それとこれは別問題なんだよ、
杏奈にはまだ早い、
そう、杏奈はダメだ」
玄関のドアを勢い良く開けると、そこはあたしの癒しの空間。
外で、どんなに辛い事があったって【ここ】があるから頑張れる。生きていける。
大切な場所。
「お帰り、杏ちゃん……、今日は遅かったのね」
大好きなママの笑顔は、いつも、ほわほわ優しい。
「うん、部活がちょっと長引いたんだ、言ってたでしょ?
今日、村井先輩ってOBが来るって……、
いやー音楽的センスはかなり良いね、
でも、人としてはどうかな、
うん、でも、まぁ頑張って来たよ」
「あらら、何それ…、おっかしいの、先輩、若いのに優秀な方なんでしょ?」
「あぁ…、うん、なんか、やらしい感じだけどね」
「え!やらしい?どういう事だい?
あ、杏奈…、どういう事?
何か問題あるような事されたのか、
ねぇ、杏奈……」
さっきまで隣の部屋にいたのに、飛んできて、あたしにまとわりつく太郎ちゃん。
うんと短くしてるけど、柔らかい明るい色の栗毛があたしと同じ。
話を聞かない振りをして、背中を向ける。
聞こえてたのかと、自分の配慮のなさを悔やむあたしだけど、もう遅い。
太郎ちゃんは心配性で、いや、かなりの『心配病』で色々と口うるさい。
「ねぇ?杏奈、帰り道は大丈夫だったか?
暗くなり始めると危ないなよなぁ…、
帰りはやっぱり迎えに……」
もう!
太郎ちゃんの親バカ、心配マン。
半ばうんざりして振り返る。
「太郎ちゃん……、もう、
そうやって言うなら携帯買ってよ―、
ケイタイデンワ!
防犯に役立つ代物だと思うよ……、
ね、ママ?」
「ええ、ママもそう思います」
「…いや、え~と、それとこれは別問題なんだよ、
杏奈にはまだ早い、
そう、杏奈はダメだ」
