楽しい事?



そうだな……、えっと、思い付かないや。


潮風に揺れる芝生にゴロンと寝転んで、

薄い赤紫と、藍が溶け合う空を、ずっとずっと見つめてた。


もう、日が沈み始めるね。

カモメの群れが、一斉にゆっくりと同じ方角に飛んでいく。


みんな、お家に帰るの?


暗くなり始めた空に、浮かび上がる白いカモメ達の姿。


棲みかに向かうカモメ達は、空を泳ぐように飛び、あたしは暖かい我が家を想う。


今日の晩御飯は何だろう?

よいしょと立ち、制服についた草をはらった。


鏡の中のあたしは、よくよく見なきゃ泣いた事はわからないまで赤みも引いたし、


さあ、帰ろう。