____苺の季節____

「今日、OBの村井先輩が合奏を見てくれるんですよね?

村井先輩ってどんな人ですか?

この間も、どこかの楽団の指揮者をしたって新聞に載ってましたね」


「ああ、あの先輩は、うちらの前では、おバカな感じを発揮してるね…、

下ネタトークとか、高校生相手に普通にするから、

そういう時はスルーして良い、

これは言っておく、

でも、仕事となれば違うんだろうな、

一曲タクト振るだけで、何十万、下手したらもう一桁いくらしいよ?」


「へぇー、凄い、緊張する」

「大丈夫だよ……、って、
杏ちゃん?

何かごまかしてない?」


「え、何がですか?」


「だからぁ、さっきの話!

好きな人でも出来た?」



毎日、何時間と一緒に過ごすから、お互いの事がわかるようになるのかもしれないと思った。


「まぁ、そんな所です」


あまりに図星だったので、即答するあたし。


西村先輩は、姉のように微笑んだ。