____苺の季節____

物置からバケツを取り出して、体育館の横にある水飲み場で水を入れる。

水はぬるくて水圧も弱い。少しずつバケツに溜まっていく。

気まずい雰囲気になるのが嫌で何か話したかった。

「月がこんなに明るいなんて…、凄い綺麗ですね」


バケツの中の水をチャプチャプ触りながら言うと、隣の蛇口をキュッと止めた彰先輩が大きくため息をついて言った。


「杏、お前さ…、ほとんど寝てないんじゃないか?


目の下、クマ出来てるぞ、
心配してんだろ?その…、お前の…彼氏の母さん…の事、

ごめんな、杏の様子が変だから理由を探りたくて同じクラスの陸上部のヤツに聞いた、さっき、俺の携帯からかけたんだ……、すまん、なんか」