____苺の季節____

「杏奈ちゃんは良い子ね、
優しく真っすぐに育ってるのがわかる……、


鳴海にはもったいない位、
私、縁に感謝しなくちゃ、

あんた、杏奈ちゃんを泣かすんじゃないわよ、

大事にしなさいね」


鳴海のお尻を軽く叩いた。

「わーっ、分かってるから
ケツ叩くのやめれって」


「あたしは良い子なんかじゃないですよ」


そう言うと、


「ううん、わかるのよ、人って目を見れば、大体ね、
あとは、仕草や振る舞い…、人間性が滲み出るものだから、


私ね、息子の彼女として、と言うより、【ひとりの15歳の女の子】として、杏奈ちゃんの事が好きよ」


あたしを見つめる瞳は黒く澄んでいて綺麗だった。


「あ、そうだ!杏奈ちゃん、浴衣持ってる?」


あどけない少女の様に笑うお母さん。


「いえ、小学校の時に着た浴衣があるだけで……」