____苺の季節____

「お兄さんは、今は何をされてるんですか?」


「あの子も学校の先生をしてるわ、小学校の」

「すごーい!」


「母さんもしてたんだぜ?
2年前に辞めたけどな、

中学校の美術……、油絵やってたんだ若い頃から、あと陶芸や機織りや、色々」

「えー!すっ凄い!

凄いですね!あたし、芸術関係も好きなんです、祖父が画家で、

そういった個展や移動展、それに、スケッチ旅行へ行ったり、子供の頃からいつも色々見てたから……、好きです、


お母さんの作品、もし良かったら、今度見たいです」

「ええ、良いわよ…、楽しみにしてて」


鳴海のお母さん、瞳がキラキラしてた。


「はい」


あたしも、しっかり頷く。


「お祖父様のお名前聞いて良いかしら?」


「塚本 育生、日本画を描いてます」


「えー?塚本先生のお孫さんなの」


「なに、母さん知り合い?」

「バカね、知り合いも何もとても有名な日本画の大家よ、

塚本先生を慕うのは芸術家だけではなく、政治関係者も多いって聞いてるけど」

「え…?まぁ、顔は随分と広いみたいですけど、あたしには直接関係ないかな…、と幼い頃から割りきってました、


でも、色々なものに触れる機会を多く作ってくれたというか、

そういう環境の中に自然と身を置いていたことは有難い……、そんな風に思うんです」