____苺の季節____

「鳴海、この服どう?」

「どうって言われても…」


あたしは膨れて口を尖らす。


「嘘だって、ちゃんと可愛いから安心しろって……、
なんちゅーの、そのフリフリも杏奈らしくて似合うんじゃね?

でもよ、病院だぜ?別に何着てても良くねーか?」


「ん、もー!分かってないなぁ……、べーっだ」


あたしは鳴海に向かって舌を出す。


「けっ、変な顔」


軽くあしらわれた。だって、病院とはいえ鳴海に会える日だし、鳴海のお母さんにも会うんだから、少しでもお洒落したいって思う乙女心、わぁかんないかな。


背中に向かって心の中で喋ってると、不意に止まり、早く来いよって、目であたしを呼んだ。


はいはい、急ぎまーす。心の声で返事して、スリッパが脱げない程度に急ぐ。