それから3年が過ぎた
沙由は毎日あわただしく働いていた
両親とは中々会えない日々が続いたが手紙のやりとりなどしていたので寂しくはなかった
この3年で沙由は一番下っ腹から使用人の中でも一番の有能者と水無月家に認識され始めた
最近の沙由の仕事は
「沙由たまには散歩とかしたい」
「ダメです!満鳴様はまだ体調が良くないんですから」
水無月家に養子に期待満鳴の世話役
秀吉と妻のお宮<ミヤ>の間には子供が出来ないため水無月家は焦り分家で一番の有能な満鳴を本家の養子に向かい入れた
しかし満鳴は体があまり良くない
それを知っているのは沙由だけだ
「明後日また戦があるんです
今下手に体を動かしたら……
明後日の戦に」
「わかった、分かったから泣かないでよ
沙由に泣かれたら……まるで僕が悪いことしたみたいだから……」
満鳴のくったくない笑顔
沙由は満鳴の笑顔を見るたびに心が苦しくなる
行かないで下さい!!
戦に行ってしまったら、もしかしたら二度と満鳴様に会えなくなるかも知れないじゃないですか!!
その言葉を満鳴に言えれば楽なのに……
身分が邪魔して言えない
満鳴が自分の気持ちに気づき
振ってくれればどんなに楽か
でも例え振られても満鳴様のそばにいたい
沙由の気持ちは複雑な心をしていた


