「いきなりレッグスルーをしようとするからダメなんだよ。
お前、『8の字』もできないだろ?」
俺は転がってきたボールを手に取ると、足を肩幅以上に広げた。
「見てろよ?」
俺はザキにわかりやすいようにゆっくりと、足と足の間、足の周りを8の字にボールを回した。
「まずは、これをスムーズにできるようにならないとレッグスルーは難しいんだ」
次第に8の字に回すスピードを速めていく。
ある程度ザキに見せてからボールをザキへとやんわり投げる。
「うぇ〜……俺、こういうのん苦手やのに」
「だったらレッグスルーは無理だな、諦めろ」
「うぇ〜……」
ザキはしぶしぶボールを手にし、ゆっくりとボールを回し始めた。

