「ジョン、煙草を止めたらどうだい」
そう言って、皺だらけの白衣を着たドクター・マークは俺にいつもの薬を手渡した。
大きなため息をつきながら。


「煙草をやめる?どうして」
マークが俺に煙草を止めろと言ってきたのはこれが初めてじゃない。
わかってる。
煙草は身体に悪いっていうんだろ。

「身体によくないからさ。君の咳がひどくなってるのは煙草のせいだよ」

ほらやっぱりそうだ。
「吸いたくなっちまうんだ、しょうがないじゃないか。特に食後の一服は最高だね」


マークは過去に幾度となくジョンに禁煙を勧めてきたのだが、ジョンはその期待に応えること無く現在またすこしずつ本数がふえてきている。
「どんだヘビースモーカだ。困ったな、そのうちその咳止めの薬も効かなくなるんじゃないかな」
「それならもっと強い薬を飲めばいいんじゃないか?」
「ニコチン中毒だけじゃなくて投薬中毒にもなるつもりかい君は?」
「まあ、煙草もドラッグと似たようなものだろ」
「解ってるなら煙草を止める努力をしてよ」
「そうだな、そのうちな」