「その噂の女優さんて、前から熱狂的なファンみたい。一般人のファンの子達に混じって出待ちしてた事もあるみたいで、実は、私も見かけて事があるの」

「そうなの・・・?」

あの女優が出待ちしていたなんて全く覚えていない。

「それで、あのトーク番組の後、あちこちのブログや掲示板に書き込みがあってね。最初はテレビの感想が多くて・・・羨ましいとか悲しかったとか、辛かったとか。大好きだけど手の届かない人が、女の人と寄り添って。しかも、美男美女でお似合いだったし絵になるし・・・ファンとしては仕方のない事だと思ってもヤキモチやくし嫉妬するよ」

彼女は両手をギュッと握りしめ、今にも泣きそうな顔をしている。

「そんな書き込みがある中、出待ちをしょっちゅうしている子達が「私は彼と付き合っているの。彼女なの」って言われたっていう事があるってブログに書いていて・・・。人数は少ないんだけど、同じ様な事を書いた記事がいくつかあったから、ファンの中では信憑性が高い話だから、事実なんじゃないかって」

そこまで話すと肩を上下させ、大きなため息をついた彼女。

その姿をじっと見つめたまま俺は言葉が出なかった。