「はあ~」

今しがたあった、局の通路での出来事を思い出し、大きな大きなため息をもう一度。

さっきため息をついた時には何の反応も示さなかったのに、車を運転しているマネージャーがびっくりした顔でルームミラー越しで俺を見ている。

「さっきからため息ついてるけど何かあった?」

あったんだけど言えない。

泣かれたからアドレス交換したなんて・・・。

結局周りの視線が痛くてその場から早く立ち去りたくって、アドレスを教えてしまった。

女の涙に弱い俺。

情けない・・・。

忙しい俺だから食事の誘いメールがきても行かれないよ。

「慣れないトーク番組に疲れただけ」

今度は心配そうに俺を見ている。

本当の事を言うのが気まずくて嘘を言ってしまった。

流れていく景色を見ながら何度目になるのか分からないため息をまたついた。