「休みはあるの?」

メンバーに聞かれ我に返った。

「無い」

基本タレント業をこなしている俺は、他のメンバーが休み中でも番組収録や雑誌のインタビューなどある。

この間の休みっていつあったのか覚えていないくらい、ずっと前だった様な気がする。

「ドラマの撮影は終わったの?」

「俺の出るシーンは撮り終わったから、俺は終わり」

「キスシーンがあったんだって?」

「あった・・・」

どこか遠くを見る様な目でスタジオの巨大な鏡に映った自分を見る。

「何かあったの?」

心配そうにこっちを見ている。

「仕方のない事なんだけどさ。好きな人とできないのに撮影でしちゃうなんて・・・って思ってさ」

鏡に映ったメンバーの顔がキョトンとしているから、メンバーの顔に視線を変えた。

「何?」

「えっ!?どういう事?まさか好きな人いるとか!?」

キョトンとした間の抜けた顔から驚きの表情に変わった。

「いるよ」

ボソッとつぶやく。