「ね、夢大」


テストが終わり、夢大に声をかける。



「おう。日向。どした?」


「湯川くんて…どんな人?」


その言葉に夢大は唸る。



「そー…だなぁ…

一言で言えば冷めてる。


あんまり他人に興味示さない、っていうか…」



「そうなんだ」


だよね。

やっぱりみんなのイメージ通りだよね?


じゃああの笑い声は…あたしの空耳?




「あ!夢大」


去っていこうとする夢大を呼び止めた。



「あとさ、湯川貴斗ってどっかで聞いたことある名前だと思わない?」


ずっと、ずーっと考えてた。

『湯川貴斗』って名前。


どこかで聞いたことあるんだ、絶対。

なのに思い出せない。



「それ、俺も思ってた。

けど思い出せないんだよなぁ…」


と、夢大は首を傾げながら教室を出て行った。