「なぁ、日向」
部室から荷物を取ってくると夢大が声をかけてきた。
「何?」
と、首を傾げる。
「貴斗、見なかった?」
「なんか用事あるみたいであとで行く、って言ってたよー」
そう言うと夢大はそっか、と興味なさげに返事をする。
「じゃ、先帰るか」
アキも来て、3人で歩き出す。
湯川…大丈夫かなぁ。
道とか、分かるのかなぁ。
でも朝、1人で来たなら分かるか。
いや…でももしかしたら迷子になっちゃうかもなぁ。
「ごめん!先帰っていいよ」
あたしは立ち止まり、前を歩く2人に言った。
「ん?どうしたの、日向」
「いや…ちょっと忘れ物」
なんでウソをついたのか自分でも分からない。
ただ、気づくとウソをついていた。
「じゃ、先帰ってる。
また明日ね、日向」
「じゃーなー!」
2人の背中を見送るとあたしは走ってグラウンドに向かった。

