卒業式が終わって、教室に戻るとさっそく山ちゃんの話が始まった。
「卒業、おめでとう」
そう一言言って全員の顔を見回す。
「中学校での3年間、すごくあっという間に感じたと思う。
辛いことも、泣きたくなることも、
たくさん、あっただろう。
それは勉強においても、
友達関係においても、
そして…恋愛においてもみんな、同じだと思う。
もっと勉強しとけば良かった、とか
もっと友達を大切にしとけば良かった、とか
思うヤツは高校にあがって同じ間違いを繰り返すな。
恋愛に関しては…先生は何も言えない。
こればっかりはいろんなこと経験しないといかないからな。
だからたくさん、恋をしろ。
俺のキャラからは想像もできない言葉だけど、
でも経験から言って恋はたくさんしたほうがいいと思う。
恋愛は自分の支えにもなるし、
頑張ろう、って思う力にもなる。
とにかく、先生はみんながこれから楽しい生活を送れるように祈っています」
山ちゃんは目頭を押さえる。
あたしは山ちゃんの話の間中、ずっと湯川の背中を見つめていた。

