「貴斗、Y高受かったって。
やっぱすげぇーな。
偏差値バカ高くて
陸上がめちゃくちゃ強い高校に入れちゃうなんて。」
夢大はそう耳元で囁くと自分の席へ戻っていった。
そっかぁ…
受かったんだ、湯川。
祝福する自分と
そうじゃない自分。
2人が存在していた。
もしY高が落ちれば
滑り止めでN高に来ることになっていた。
湯川がN高に来る可能性なんてゼロに近かった。
だからそんな期待していたワケでもない。
けど、けど、いざ本当に湯川がY高に行っちゃうとなると
急に会えないことに現実味が帯びて。
どうすることもできない感情が溢れ出しそうになる。
「アキ、湯川におめでとうって伝えておいて」
そう言うとアキの鋭い視線が突き刺さった。
「そういうことは自分で伝えなさい。
いつまでも甘えてちゃダメでしょー?」
あたしは苦笑い。
言えるワケないじゃん。
こんなに気まずいのにさ。

