「はっ…?!

待てよ!


Y高って陸上でちょー有名な?」


「そう」


目見開いて増川は動かない。



「貴斗ってやっぱ…すげぇーヤツなんだな。


で、なんで俺らが行くN高と、超強豪校のY高で迷ってんだよ?」


「それは…」


言うのには勇気が必要だった。

だって、この理由を話すってことは俺が抱いているキモチを話さなきゃいけないんだから。




「それは、日向がN高に行くから、か?」


「え?」


増川は何もかもを見透かしたような目で俺を見ている。




「今よりもっと、もっと強くなりたい。

だからY高に行きたい。


でも、日向の傍を離れるのはイヤだ。

それにアイツとまた一緒に走りたいんだ。


もう俺…どうすればいいか分かんねぇーよ、ってところ?」



なんで…


なんでこんなヤツに俺の心ん中、見透かされねぇーといけないんだよ。



しかも何一つ、増川が言ったことは間違ってねぇーし。