「貴斗くんのほうから聞いてますでしょうか?」
オカンは首を横に振り、言った。
「いえ…何も。」
そりゃあそうだ。
俺はオカンに何も言ってないんだから。
「湯川…お前、お母さんと相談しなかったのか?」
山本が眉をひそめる。
「なかなか時間が合わなくて」
適当なウソをついた。
オカンに相談しなかったのは心配かけたくなかったから。
ただ、それだけ。
「貴斗くん、どうも陸上やるかどうか迷っているらしくて…
僕的にはぜひ続けてほしいんですけどね。
そのへんのところも含め、おうちで話し合ってもらえれば…」
「はい、分かりました」
オカンが頷く。
「湯川、来週までに進路希望の紙、提出しろよ。
クラスで志望校決まってないの、あとお前だけだから。」
俺は小さく頷いた。
そして立ち上がる。
少しでも早く、終わらせたかった。
3者面談なんて…なければいいのに。

