「お前…まさかだけど陸上辞める気じゃないよな?」
山本は心配そうな顔で俺を見る。
「まだ…決めてない。
それだけ…です」
なんで迷ってるとかは言いたくなかった。
自分の家庭の事情を人に話すのは苦手だから。
「そうか。
まあとりあえず安心した。
でな、お前…高校どこ行きたい、とか考えてるか?
いつも進路希望調査の紙は白紙だけど…」
進路、進路、ってうるさいんだよ…
受験なのは分かってる。
でも、そんなに焦って大人になりたくない。
俺は自分のペースで生きたい。
そんなことを口に出せるワケもなく、俺は首を横に振る。
高校なんてどこでもいい。
頭が良かろうが悪かろうがどうだっていい。
ただ、就職のためにとりあえず高校は出ておきたい。
それが俺の考え。
「実はな、お前にスポーツ推薦でうちの学校に来ないか、っていう学校が何校かあるんだ。
その中に陸上界では有名な学校の名前も幾つかある。
とりあえず有力候補の5校の資料だ。
目を通しておけ。」

