「だからな?そうじゃないんだよ。

ここは公式を当てはめて…」


「はぁ?意味分かんない!

全然分かんないから!」



日向との距離、およそ20センチ。

なかなかの近さで、心臓がいつもより少し速く動いてる。



「まず理解しようとしろ。

頭っから分からない、って決めつけてたら分かるもんも分からなくなるから」


日向ははぁ…と溜め息をつくと麦茶を飲んだ。



「ダメだな…こんな調子じゃ」

揺れる麦茶を見つめて日向は呟く。



「湯川と同じ高校行って、また一緒に陸上やりたいのにこんなの解けないようじゃ、同じ高校なんて到底無理だなぁ…」


そう悲しそうに呟く日向に触れたくなった。

けど、そこは抑える。


この関係だけは、どうしても壊したくないんだ。



「だったら次のテストで50位以内に入ろう」


50位?!と日向が叫ぶ。



「毎日でも俺が教えるから。

イヤなら別にいいけど」



「イヤなワケないじゃん!

ぜひよろしくお願いします!」


意外にもすんなりOK

ちょっと拍子抜けした。


ってか俺…何言ってんだろ。

毎日日向と2人きりで勉強する、ってことになるだろ?


心臓…保つんかなぁ…