「もしかしてだけど」


「うん」


「俺が怒ってる、とでも思ってる?」


「へっ?!」


心の中を覗かれた気がしてヘンな声が出てしまった。



「やっぱり、思ってんだ」

湯川は呆れた表情をする。



「別に怒ってないから。

お前のそんなふうに言わなくてもいいじゃん、ってヤツも聞こえてた。


けどなんか言い返すのめんどくさかったから寝てただけ。


だから俺、怒ってないから。

まあ日向は怒ってるかもしんないけど。」



「べ、別にあたしだって怒ってないし!」


いや、さっきまで若干だけど怒ってた。

けど、けど、なんか…自分だけが怒ってるなんて悔しくない?


これって…あたしだけ?



「じゃあ…仲直りも何もなくね?」


「………うん」


確かにそうだ。

ケンカしてないのに仲直りなんて意味分かんないしね。


ってことは、あたしが謝る必要もないんだ。




「そういうこと、早く言ってよね!」


湯川の肩を叩く。



「はぁ?意味分かんねぇーし」


湯川はそう言いながらなぜか笑っていた。