「お前さ…なんでアキと別れたんだよ?」


日向にはめんどくさくて聞きたくない、とか俺は興味ない、とか言っていたが正直俺だって気になる。

どうしてあんなに仲の良かった2人が別れることになったのか。




「貴斗、気遣いって言葉知ってる?」


増川はそう言ってふっと笑った。


俺だって気を遣うことくらいできる。

でも、こういうのって遠回しに聞くよりズバッと聞かれた方が話しやすくないか?



「おかしくなり始めたのは、県大の日からなんだ…」


増川は話し出す。


県大の日…?

でもあの日、肩抱いてお互いのこと慰め合ってなかったっけ?



「あの日、負けて、それからお互いなんかおかしくて。


日向が倒れて、

その分頑張ろうって思ってたのに負けて。


そういうのがものすごく重くのしかかって。

しばらく連絡とってなかったんだ。


こんなこと、付き合い始めてから1度もなかったんだ。


それで久々に会ったとき、すげぇ些細なことでケンカしてさ。

原因がなんだったか覚えてないくらい、些細なことで。


で、怒りに任せて言ったんだよ。



もう別れようって。」