「おー!貴斗!
久々だね~!!」
階段を駆け上っているあたしとアキに声をかけたのは湯川だった。
相変わらず、感情の読めない表情。
「…だな。
元気にしてたか?」
湯川がそんなことを聞くとは思わなくて少しビックリした。
「もっちろん!元気!
ね?日向」
「あ…うん」
なんだか気まずい。
あの日、湯川の前で涙なんて見せちゃったからだ。
「そう言えば大会、おしかったみたいだね。
ま、でも全国行けただけで十分だよね~」
アキはなんの躊躇いもなくあの話題を持ち出した。
「…ああ、そうだな」
湯川はさっきと同じ無表情で。
ショックを受けているのかどうか見分けることができなかった。