「ごめん。

俺、そういうの苦手だし」


笑って見せる。



日向に言えるワケがなかった。


『さっきのはウソなんかじゃない』

って。


俺はお前のために走るんだ、って。

お前のために俺は勝つよ、って。


このキモチ…なんなんだよ…


なんで日向に俺はそんなことばかり思ってしまうんだろう。




「じゃ、頑張って。

絶対に優勝してきて。」


日向が手を差し出した。

俺はその手を握る。



手を離すのがイヤだった。


って俺…何考えてるんだろう。

自分が分からなくなって慌てて手を離した。



「行ってくる」



「いってらっしゃい」



日向の横を通り過ぎて少し歩き、振り返った。


日向は笑顔を浮かべたまま、なぜか敬礼をしている。



俺はそんな日向に背を向け、歩き出す。


待ってろよ、全国のヤツら。

俺は、お前ら全員ぶっ潰して、絶対優勝してやるんだから。