目の前で肩を震わし泣いているのは
本当に俺が知っている日向なんだろうか。
ふと、そんなことを思った。
病院で、1滴も涙を零さなかったのはアイツの強がりだった、ってことか。
そうだよな。
普通に考えれば、誰でも泣きたくなる。
日向と同じことを経験すれば。
「約束…守れなかった」
日向がポツリと呟く。
「約束?」
「2人で全国に殴り込みに行く、ってヤツ」
あぁ、と呟いた。
「約束…守りたかったのに…あたし…なんで…」
「日向」
日向の背中を真っ直ぐに見つめる。
いつも隣にいたから気づかなかった。
日向の背中は小さくて、細くて。
誰かがその小さくて細い背中を守ってやらないといけない、そんな気がした。
「俺がお前やアキ、夢大の分まで頑張って来るから。
だから、もう泣くな。」