おかしい、そう思ったのは半分を過ぎた頃。



何かがおかしかった。

自分でもよく分からない。


けどあれは日向の走りじゃない。



「ね…日向、おかしくない?」

アキが俺の方を向く。



でも俺は答えることができなかった。


日向を目で追うのに必死だったんだ。



1キロを過ぎたとき日向はトップにたった。


でも、すぐに抜き返される。

アイツが抜き返されるなんてありえない。

アイツがトップになって抜き返される姿なんてこの数か月、1度も見たことがない。




胸騒ぎがした。


1年のときの俺みたいにアイツ…怪我、してんじゃないよな?



日向のペースが落ちていく。

足が止まりかける。


俺は出せる限りの声で叫んだ。



「止まるな!

止まったら終わりだぞ、ひなたぁー!!」