【ピピピピ】


時計が1時間が終わったことを知らせた。

始めにいたベンチに歩いて戻る。


そこにはもう日向がいて。



「大丈夫か?」

と、声をかける。



「もちろん。

でもさすがにもう走れないかも。


暑すぎるよ、今日は」


水道で冷やしたタオルを首元にあてている日向。

確かに暑すぎる。



「けど、強くなれた気がする」


日向はそう言って少しおどけた笑顔を俺に見せた。



「よし、帰るか。

まだ明るいけど送ってくよ」



「そういうのいいって。

誰かに見られて学校で冷やかされるのとか絶対ヤだもん」


日向はエナメルバックを肩に担ぎ、歩き出す。




「じゃ、また明日の部活で。

付き合ってくれてありがとね!!」


日向は俺に手を振ると走って行ってしまった。



さっき日向…もう走れないかも、とか言ってなかったっけ?

なんで走ってんだよ…?