「え?え?え? 日向、今…なんて?」 夢大が目を丸くしている。 「だから!あの湯川貴斗だよ! ゴール直前で倒れた、湯川貴斗!」 興奮するあたし。 まさか憧れの湯川貴斗がうちの学校に来るなんて。 「お前ら、気づいてなかったのか⁉ もっと早く気づいてやれよー」 山ちゃんはそう笑い、どこかへ行ってしまった。 あしたち3人はあまりにきれいなそのフォームに見とれ、 無言で湯川貴斗の走っている姿を見つめていた。