「本当は別れたくなかった。

ずっと、ずっと傍にいたかった」


胸の奥にチクリと痛みが走る。

でも気づかないふりをする。


「でも俺は言えなかった。

カッコ悪い、って思うと言えなかったんだ。


あのとき、俺がちゃんと伝えていれば

あのとき、日向と2人きりにならなければ

花火に行かなければ


後悔してもしきれないんだ…」


湯川は俯いた。

そんな湯川の背中に手を置く。


汗のせいか少しだけ湿っていた。




「あたしはカッコ悪いって思わないけどな」

そう言うと湯川は顔をあげる。



「別れたくない、とか傍にいたい、とかそういうのカッコ悪いって全然思わない。

むしろ、カッコイイって思うよ。」


だから裕実ちゃんに伝えてあげて、とは言えなかった。

あたしの我が儘な部分が出てしまったんだ。