「種目は?何?」


「………長距離」


「ホントに?!あたしも長距離なんだぁ~」


なぜかはしゃぎ出す湧井日向。


なんなんだ…コイツ。

意味分かんねぇ。




「じゃ、またあとで!

女子はここの奥なんだ、部室」


ばいばい、と言って湧井日向は走って行った。



元気だな、アイツ。


初めてアイツを見たのは…俺の初めての大会のときだった。


そのときは緊張したような強ばった顔しかしてなくて。

あんな笑顔、見たことなかった。




「…………………」


部室に入るけど誰もいなくて。

荷物の散らばり具合からもうみんな、行ってしまったのだろう。



俺は素早くジャージに着替え、部室を出た。


あ…どこに行けばいいんだ?

まあグラウンドへ出ればいいだろう。


俺は軽く走りながらグラウンドへ向かった。