「じゃ、また明日ね!」
アキに適当にウソをついて部活を抜け出す。
「なんで俺なんかのために部活サボるんだよ」
あたしの1歩後ろを歩く湯川がめんどくさそうに呟いた。
「なんでだろうね。
あたしも分からない。
あ、1個だけ分かってることある!
湯川がいないと張り合う人がいなくて楽しくないんだよね」
本当はそれだけじゃない。
もう、このときのあたしは気づいてた。
でも、必死で気づかないフリをしていた。
まだ、気づいちゃいけないキモチな気がするんだ。
見て見ぬフリ。
それがあたしの出した答え。
「なんだよ、それ。」
湯川はあたしの返事を聞いてなぜか笑う。
「今の笑うところじゃないよ」
そう言いながらもなぜかあたしも一緒になって笑っていた。

