その日の湯川は最悪だった。
いつもキレイなフォームはバラバラ。
首は動きまくってるし、肩の位置もいつもと違う。
それに足があがってないせいで転びそうになってたし。
明らかに様子がおかしい。
あたしのスピードに追いつかない湯川なんてあり得ない。
「ね、貴斗、ヘンじゃない?」
先にランニングを終えたあたしのところへアキが来る。
「そう思う?」
アキは縦に大きく首を振った。
「部活に来ない間になんかあったんでしょ?あれは。」
アキは腕を組み、一人で頷いている。
そう。
何かあったんだ。
裕実ちゃんに関して、何かが。
精神状態がおかしくなるような何かがあったんだ。
きっと、昨日湯川が泣いたのはあたしが裕実ちゃんの名前を出したから。
やっぱり、今日湯川を部活に参加させるべきじゃなかったのかもしれない。
あんな状態で練習に集中できるワケがない。

