「もう辛いのはイヤだよ。

それに、貴斗のこと信じられないのにこれから先続けていけるワケがない。


そうでしょ?貴斗」


こういうとき、なんて言えばいいんだよ

俺……分かんねぇよ…



「俺のこと、もう二度と信じられないのか?」


裕実は答えない。

代わりに小さく首を横に振る。



「俺たち…やり直せないのかな」


これにも裕実は答えてくれなかった。


俺はゆっくり立ち上がった。

これ以上裕実にカッコ悪い姿は見せられない。


そんな俺の小さなプライドが邪魔をして。


だから、言えなかった。



「別れたくない」

って。


その代わり



「今までありがとう。

俺も好きだった…大好きだった」



と、言った。


ドアの前で立ち止まる。

振り返りたかった。

でも、振り返って俺が何を言っても、何をしても裕実の気持ちが変わることがないのはこれまでの付き合いで分かっていたから。

だから俺は深く深呼吸をして、

裕実の部屋を後にした。


もう二度と、入ることはないだろう。



裕実…幸せになれよ