腕の力が抜けた。

離しちゃいけないと思っているはずなのに。

なのに、どうしてか力が入らない。



「やっぱり…無理だったんだよ…」


カーテンが揺れ、明かりが入る。

それに照らされた裕実の瞳からはボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。




「遠距離なんて…無理だったんだよ。


今まで当たり前のように毎日一緒にいて。

なのに急に離ればなれで。


忙しくて全然会えなくて。

寂しかったけど、寂しいって言えなくて。


あたし…ずっと、辛かったんだよ…」


いつも笑顔で、

いつでも明るい裕実。


そんな裕実の本音は俺の思っていないことで。


戸惑った。

そして悔しかった。


自分が何も気づいてなかったばかりに裕実にこんなことを言わせてしまった。




「貴斗…あたし、告白したときよりずっと、好きだよ。

でもね…好きすぎて辛いよ。



だから…もう、別れよ…」