涙は零れる寸前だった。
「………湯川」
振り向くと怖い顔をした湯川がそこに立っていた。
「誰?お前?」
あたしの肩を掴んでいる男の声色が変わる。
「だから、そいつのツレだって言ってるでしょ」
いつもより不機嫌さが増している。
ただでさえ、今日は不機嫌だったのにそれに2割増しくらいの機嫌の悪さ。
知らない間に涙は引いていた。
「俺たち、お前に用ないんだよね。
だからさ、どっか消えてくれる?」
「無理」
一言で湯川は男の言葉を切り捨てた。
「おいおいおい!
ケンカ売る相手、間違えてんじゃね?」
あたしの肩を掴んでいた男は大きな声で不気味に笑っている。
と思ったその瞬間、湯川に殴りかかった。
でも、
「そっちこそ間違えてんじゃねぇの?」
という言葉とともに男の拳を手のひらで受け止める湯川。
同時に右の拳が男のみぞおちにヒットする。
「さっさと失せろ。
邪魔だ。」

