「なぁ!貴斗ぉ~」



「……あ?」


コイツ、マジわかんねぇ。

普通これだけ冷たくされたら寄ってこないだろ。


俺にそう思わせているのは増川夢大だ。


俺がどんなに冷たい態度をとっても寄ってくる。



ちなみにコイツのことも俺は知っている。

高飛び、男子県3位。


あ、あと増川の彼女のアキってヤツのことも知っている。

短距離、女子県5位。


とんでもない実績のヤツらと俺も同じクラスになったもんだよな。


ま、でも未だに誰も俺のことに気づいてないみたいだけど。




「貴斗さ、部活…入るの?」


「………まあ」


当たり前だろ。


この学校へ転入が決まってから、

走りたくて走りたくてウズウズしてるんだから。



「何部?何部入んの~??」



「…秘密」



あとで、ビックリさせてやるから。

待っとけよ、増川。