「どしたの……?」
桜木に聞かれる。
あたしは慌てて涙を拭って、
「そっちこそ、どうしたの!?」
と言った。
すると桜木は、戸惑うように、
「え、家帰るとこだけど……」
と答え、言いながら自転車を降りた。
あたしがもたれかかっているフェンスをゆっくり開ける。
あたしはそっとフェンスから背中を離した。
桜木は、かがんであたしの頭にポンと手をのせた。
桜木の妹の莉奈ちゃんと、あたしの弟の大地は幼馴染だ。
かといってあたしと桜木はそれほど親しいわけではない。
けど、昔は4人で遊んだりもした。
……桜木が、こんなに有名になる前はね。
