「あのさ、すごい言いづらいんだけど、飯食いに行ってもいいかな?」
「飯…ですか?」

「いや、君追い掛けてくるのに必死だったから、腹減った。」


不思議な人だ。


ネクタイを緩めながら、
ハンドルを握るその手を見ていた。

あたしは、人を好きになる事が、まったく皆無というくらいない。
それは多分、過去のしんどい恋愛にうんざりしてるからだと思う。

でも、ネクタイを緩める仕草は、
相変わらず好きでたまらない。