「いらっしゃいませ」
私は今、花屋で働いている。
周りの友達は、コンビニのレジをやっていたり、レストランのウエイトレスをやっていたりするんだけど。
私は花屋の店員という仕事にすごく惹かれていた。
もともと花が大好きで、結構花言葉なんかも知ってたり。
純も、花が大好きだった。
半年前、すぐに始められる仕事を探していた時に親友の本條愛からこの花屋を教えてもらった。
店員募集してるらしいから、亜実も一緒にやらない?
と。
そして今に至る。
「お客さんあんまり来ないねー」
しかし愛は早くもこの仕事に飽きてきているらしく、最近では前ほどのはりきりぶりは見られなくなった。
愛は昔からかなりの飽き性で、その都度私は何かと迷惑をかけられてきた。
現に最近、彼女は仕事をサボることが増えてきて、私は一人で店番をやらされることもある。
彼女のそんな性格にはもう慣れてきているので別に苦でも何でもないのだが。
「ねー亜実ぃ、暑くない?」
そう言いながら愛はどこから取り出したのか小さいうちわで仰いでいた。
「うん…もう7月だからね」
純が事故で死んだのも、二年前の7月だった。
思い出すと少し切なくなる。
「あみーーーーー!!」
「!?いたっ、ちょ、愛、何すんの!」
いつの間にか愛は私の目の前に立ち、私の両頬をつねっていた。
手加減してくれているのかそんなに痛みはない。
笑いながら手を離した愛は、表情を真剣なものにすると、
「純くんのこと、考えてたでしょ」
と言った。
愛は、本当にすごいと思う。
いつでも私の考えることをお見通しなのだから。
さすが、十年来の親友だ。
「…うん、何で分かったの?」
「そりゃあんたの顔見てりゃすぐ分かるよ」
「なんで?」
「あんた、純くんのこと考えてるときすごく悲しい顔してる」
愛は、悲しく笑った。
