「ごほっ…大丈夫です…」



愛君はよろよろと立ち上がった。



服は引きちぎられてボロボロだし、頬には殴られて青くあざができている。



「壱耶!何があったの!?」



私は壱耶の方を向いた。



「愛は……」



「愛君は?」



壱耶は少し間をおいてから言った。



「愛は、スパイなんだ」