「いらっしゃいませ、魅羽様」 ぺこりと頭を下げる、執事。 「気持ち悪いから止めて、お兄ちゃん」 「やっぱそう?」 ニヤッと笑う、お兄ちゃん。 10歳上で私のお兄ちゃんの中嶋 遊羽《ナカジマ ユウ》は結菜の家の執事をしている。 なにを血迷ったんだか。 はぁ、と私はため息をついた。 「何ため息ついてんだ?結菜が待ってるぜ?」 「呼び捨て?自分のご主人サマなのに」 「別に大丈夫だろ、ほら、早く行け」