お父さんも、お姉ちゃんもショックを受けていた。

家に帰るまで、誰も口を開こうとしなかった。

あたしも、車から流れていく景色だけをただ、ぼんやりと眺めていた。

玄関に入った時、お父さんが

「亜紀、風呂入って来なさい。

さっぱりするから、よく眠れるぞ?」

と言った。

「有難う…。」

そう言って自分の部屋に入った。

部屋の中は、静まり返っていた。

音も無い、真っ暗闇で、あたしは一人ぼっち…。

リングを見ると

直樹君の笑った顔だけが浮かぶ。


「いつか、結婚しような?」