「桃ちゃん、桃ちゃん」
「起きて起きて!」


……うざい。

うざい上に、お、重たい……!

よりによって潜った布団の上から、ここぞとばかりに抱きしめられてたりするあたし。


「あたし……思春期真っ盛りな乙女なのに」
「俺じゃ不満!?」
「えっ、僕じゃいやなの!?」
「……」


本っ当にうざい。

無言でもそもそと顔を出したなら、これでもかってくらいに泣きそうな目をした大の男が二人、布団にしがみついていた。


「どいてよ、つぐみちゃん、つばめちゃん」
「……」
「……」


返事、なし。
このやろう。


「……どいて、パパ達」
「わかった!」
「あっちで朝ご飯用意してるから!」


どたばたと部屋を出ていく二人に、はあ、とため息が零れた。

茅ヶ屋つぐみ、二十五歳。
茅ヶ屋つばめ、二十九歳。

何を隠そう、あたしのパパ達です。

何のこっちゃいな。